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エゴン・シーレの“関節”
身にまとうもののデザインを考えることは同時に人の身体について考えることでもあるのだが、最近改めてそう意識してみて、僕が服をデザインするときにはほとんどいつも、頭の片隅にエゴン・シーレがいることに気づいた。シーレを初めて意識したのは僕が学生だった1986年ごろ、たしか新宿の小田急美術館で開かれた展覧会(クリムトとセットだったかも)でだったと思う。いっぱしの創作者気取りを始めたばかりの僕は、彼の描く人物画から、人体をかたちづくる要素としての筋肉と関節、特に後者への強い執着を読み取った。彼の芸術はエロス(性愛)の文脈で語られることが多いが、そんな湿っぽいことは抜きに、純粋に造形の嗜好という意味で、19歳?の僕は共感し大いに感化された。シーレから受け継いだ(と勝手に思っている)この「関節への愛」を数十年の眠りから解凍し、自分のデザインに生かす時が来た。…という訳で、10月の展示会に向けて今、“関節”をテーマの一つに据えて制作を進めているのであった。(つづく)