Collection


Egon

2022


服をデザインする時にはほとんどいつも、僕の頭の片隅にエゴン・シーレがいることにある時ふと気づいた。
学生時代に行った展覧会で見た彼の描く人物画から、肘や膝などの関節への強い執着を読み取り、その美意識に大いに共感したのだった。以来僕の無意識に根を張っていた「関節への愛」を数十年の眠りから解凍し、服のデザインに落とし込んでみた。


着目したのが生地の「シワ」だ。曲げた状態の関節に合わせてパターンを作り、それを縫い合わせてできる3次元的に曲がった空間へ腕や脚を通して、そこから関節をまっすぐにした時に生じる「シワ」で関節自体の存在を強調した。普通は衣服用には用いない極厚の防水帆布生地を使い、シワの「物質感」を前面に打ち出した。